このコラムは毎月10日マックスホームで発行しているコラムの
一部を抜粋したものです。
気宇壮大
2017/06  vol.188
 雨雲が日本列島を覆い本格的な梅雨シーズンをむかえました。梅雨は日本の四季の移ろいの中で欠かせない季節とも言えます。雨にも負けず頑張りましょう。
 さて、国会は例の学園問題により紛糾しておりますが、政府の対応もスッキリしないものがあります。どのような力が働いたのかは分かりませんが、これまでも歴史は繰り返されてきました。近代日本の政治と経済の変遷を振り返れば、時の権力に入り込んだ政商が時代の転換期に巨万の富を得てきたことは明らかであり、いつの時代もマスコミが風刺ネタを追い回してきたのです。しかし、特定の者の利益が最終的に公共の利益につながるのならば許容すべき点もあると思います。
 スッキリしないと言えば、前回のボクシング村田選手の試合もそうでした。村田選手が勝てばミドル級では日本人選手として二人目の快挙となる試合でしたが、結果は多くのファンの予想を覆すものでした。しかも疑惑付のです。恐らく、彼が勝利しチャンピオンになっていたとしても今ほど日本中を巻き込むような話題にはならなかったと思います。私自身、ボクシングという競技が好きなものですから何度かこのコーナーでも触れてきました。理由は、何と言っても勝ち負けがはっきりして誰にでもわかり易い競技だからです。しかし、残念なことに疑惑の判定と呼びたくなる試合は今も昔もプロ、アマ問わず後を絶ちません。当然、人間が判定するわけですから、ルールを抜本的に見直さない限り繰り返されると思います。
 私の見方はこうです。恐らく、村田選手にとって先日の試合が世界戦ラストチャンスだったのではないかと思っています。勝てば世界への道が開けますが、負ければ次は無い。これは本人や陣営が一番理解していたことでしょう。年齢的にもそうですし、他団体のチャンピオンにはボクシング界のスタークラスが揃っており、実力も興業的にも手が届かなかったのだと思います。その少ない可能性の中で巡ってきた千載一遇のチャンス。それも勝てるであろう相手との王座決定戦、しかもホームゲームとお膳立ては整っていました。
 今回の判定結果に関しては、多くの皆さんが思ったように私も「何故?」というのが率直な感想でした。次に判定結果をめぐり団体の会長自らが不満をあらわにしたことに違和感を覚えました。個人的な採点を示したり、ジャッジに処分を下したりするくらいなら、会長の権限でノーコンテストにして再試合を命じた方がよほど団体の威厳が保てたのではないでしょうか。その後、事態を重く受け止めた団体の会長が両陣営に再戦を指示しているようですが、そもそも今回の試合では再戦のオプションの用意は無かったようで、相手選手が更なる活躍の場を求めて他の選手との試合を選ぶことも十分に考えられます。むしろ、再戦を選んだ結果、村田選手を返り討ちに出来なければ相手選手の価値は落ちてしまいますから、それならば本場アメリカあたりで格上の選手と防衛戦を行った方が稼げます。そのうえ、例え防衛失敗に終わっても選手としての価値を毀損するリスクは小さいと見ます。一方の村田選手のもとには他団体のチャンピオンからも対戦のオファーが届いているとの報道があるようです。これは他団体のチャンピオンが村田選手の実力を評価したというよりは、話題性や前哨戦の候補に挙げたとの見方が正しいでしょう。ボクシングは正にマネジメント、選手は商品価値なのです。
 試合後、村田選手には世間から同情や紳士的な対応を評価する声が高まりましたが判定は覆りません。敗因は明らかにポイントの優勢を過信した陣営の作戦ミスによるところが大きかったと言えます。金メダリストとして世間の期待値が高いだけに、現役続行に残された道のりは更に険しいと言えますが、この悔しさを糧に村田選手には他団体の真の王者に勇猛果敢に挑み、プロのリングでも輝きを取り戻してもらいたいと願っています。応援しています!!
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