このコラムは毎月10日マックスホームで発行しているコラムの
一部を抜粋したものです。
気宇壮大
2017/04  vol.186
 春の陽気に誘われ桜の蕾も膨らみ、いよいよ桜前線も北上を始めました。木々も満開の花を咲かせるために冬の間しっかりと根を張り栄養分を吸収しています。我々も外部環境が良いとついつい目の前の努力を怠りがちになりますが、しっかりと根を張ってチャンスに備えたいものです。
 はじめに、3月に発表された地価公示価格について簡単に触れておきます。全国平均では全用途で2年連続の上昇を示しました。興味深いのは「札仙広福」の地方四市が三大都市圏を上回る上昇を示していることです。景気回復による商業地、工業地の需要が旺盛でその余波が地方にも波及したとみるのが自然でしょう。更に、全国の変動率上位を見ると住宅地では上位を仙台市の地下鉄東西線沿線地域が独占しました。実務上も感じていることですが、今回の地下鉄東西線沿線の上昇は地下鉄開業効果に伴う一過性のものではなく、明らかに新しい地価相場が形成されたものと考えて間違いないと思います。
 さて、報道によれば2月の失業率は2.8%まで下がり、実に22年ぶりの低水準を記録したそうです。生産年齢人口はピーク時とされる20年前に比べ1000万人も減っているのだそうですから、いかにIT化が進んだ現代といっても人手不足は深刻です。もう一つの要因として、景況感の改善により企業が人材確保に先手を打っていることが挙げられます。本来ならば、労働条件が改善し個人消費が向上すれば景気の好循環を生むのでしょうが、将来不安から貯蓄に走る消費者、販売価格に転嫁できない企業側と中々歯車が噛み合わないようです。
 失業率の低下とは逆に、全国の空家の増加が問題になっているようです。先だっても、加熱する賃貸投資市場に対し、金融庁と日銀が対策に乗り出したとの報道がなされたばかりです。
 公表によると国内銀行のアパートローン残高は昨年末段階で22兆668億円にも拡大しているそうです。増加の要因とされるのが、平成27年の税改正における相続税の基礎控除の引き下げに対する相続対策と、将来の年金不安を不動産投資で確保するという二つの大きな流れです。大きく属性を分けるとすれば、前者は俗にいう資産家が中心で、後者はサラリーマン投資家が主役です。金融機関にとっても住宅ローンよりも融資金額が大きく金利を稼げるというメリットもあり、それぞれの思惑が合致してきたと言えます。これ自体は極めて健全なことですが、問題は大量供給による空室の増加ということになります。それでも、私自身はアパート経営に賛成です。そもそも公表されている空室率の定義自体が明確ではありませんので、全てを鵜呑みにするのはむしろ冷静な判断の妨げになります。いつの時代においても競争力を伴わない物件も分母に含まれているわけですから、数字だけで悲観するものではないと思います。更にアパートローンの残高には建て替えによる供給や中古の売買も含まれるでしょうから、アパートローン残高イコール新築の大量供給と決めつけるのはどうかと思います。
 もっとも大事なことは立地・プラン・値付けです。そして明確な目的をもって事業に取り組むことが大切です。そもそも賃貸事業自体それほど大儲けする事業ではありませんので、税金対策がメインなのか、インカムを得るのかキャピタルを得るのかを予め決めておき、その目的に応じた土地選びを行う必要があります。遊休地の有効活用の際には、最悪の場合売却しても構わない土地と絶対に残したい土地、その目的に応じた建物を建てることをお勧めします。前者の場合は5年後、10年後の借入残高とその時点における市場価格をある程度予測しておくこと。そして、後者では自己完結できるような建て方を選択し、次の世代がその時代に応じた建て替えに容易に着手できるよう準備をすること。そのためには相談できるパートナー選びも大切です。スペースの都合で続きはまたの機会にしたいと思いますが、お悩みの方は是非ご相談下さい。
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