このコラムは毎月10日マックスホームで発行しているコラムの
一部を抜粋したものです。
気宇壮大
2018/07  vol.201
 西日本を中心に大雨による甚大な被害が報告されております。被災された地域の皆様には心よりお見舞い申し上げます。一方、関東甲信越地方では観測史上最短での梅雨明けを記録し、東北でも梅雨明けを感じさせるような猛暑が続いております。暑さ同様に、熱戦が繰り広げられてきたサッカーワールドカップの観戦で寝不足気味の方も多いのではないでしょうか?その日本代表ですが、予選トーナメント3戦目で終盤に講じた作戦の是非は賛否が分かれましたが、決勝トーナメントでの強豪ベルギーを追い込んだ戦いぶりは大健闘と評価して良いのではないでしょうか。
 さて、先ごろ発表された日銀の短観によれば、人件費上昇などが影響し景況感が悪化したとの見解が示されました。景気回復や世界的好況を受け企業の内部留保は過去最高と言われ久しいのですが、日本企業の保守的な経営姿勢に対し、政府が大企業に向け異例とも言えるベースアップを要請。その効果が浸透し始めたかに見えました。しかし、実態は少々違うようで、人件費等のコストアップに加え可処分所得も消費に回らないとなれば、政府が描くシナリオ通りとはいきません。今さらコメントするまでもなく、社会保障などの将来不安が払拭されない限り、根本的な治癒には至らないと思うのですが。
 話しは変わりますが、7月2日国税庁は相続税・贈与税の算定基準となる今年度の路線価を公表しました。全国平均では3年連続のプラスとなりましたが、都市部と地方の二極化の図式は依然として変わっていないようです。地点別では、銀座鳩居堂前が過去最高額を更新しました。そして、今年全国トップの上昇率を示したのは沖縄で、訪日外国人観光客によるホテル需要や本土からの投資が全体を押し上げたものとされています。これまでの高い上昇率を示したエリアを連想しても、京都や北海道ニセコなど外国人観光客人気に起因するところが大きいようで、今やインバウンド効果が地域を支えその町の活力を示すと言っても過言ではありません。昨年全国一の上昇率を示した我が宮城県は3位に後退したものの6年連続の上昇を示しました。宮城の場合は、復興需要でもインバウンド効果でもなく地下鉄や区画整理の影響が大きいと言えそうです。加えて今年は3年に一度の固定資産の評価替えの年にあたりますので、昨今の地価上昇を受け多くの方が固定資産税の上昇を実感されたのではないでしょうか。そもそも公的評価は、課税や不動産取引の適正の為に各機関が設けたものです。春の地価公示がベースとなり路線価が定められますので、地価が春夏と見る見るうちに上昇しているわけではありません。この辺は誤解の無いようご注意下さい。
 その路線価ですが、たまに不可思議な価格設定があります。今回、私がお手伝いしている事例をご紹介します。駅前立地のメイン道路と側道の二方向に面する角地がありました。相続の評価では高い方の路線を選択し、加算や補正を加えるのですが、今回の事案では側道よりもメイン道路の方が評価が低いことが判明しました。本件は借地となっているため、面積を乗じて求めた評価額から借地権割合を控除することができるのですが、評価の低いメイン道路側は借地権割合が50%なのに対し、評価の高い側道側は借地権割合が30%という不可思議な設定になっていました。結論を言うと、相続評価をする上で評価額が高くなるだけでなく、本来控除できるはずの借地権割合が低いため納税者に不利益になってしまうという事例であります。もちろん、路線価が不服の場合は、不動産鑑定評価による算定方法もありますので頭の片隅に置いて頂ければと思います。本事案により何を言いたいかというと、路線価は完璧なものではないということです。特にこうした公的評価は、少し前のデータが基準となっておりますので、市場価格とのタイムラグも生じます。実際の用いられ方としては、標準的な住宅地であれば時価の80%程度とされていますので、路線価を100に割り戻せば大体の時価の目安を確認することができます。しかしながら、好況時の商業地の地価は路線価の何倍というケースも珍しくありませんし、逆に不況下で取引が低迷したり、需給関係が逆転している地域では路線価を割り込むことも少なくありません。毎度のことになりますが路線価は目安としてご活用下さい。
  前を表示   次を表示