このコラムは毎月10日マックスホームで発行しているコラムの
一部を抜粋したものです。
気宇壮大
2019/03  vol.209
 日増しに気温も上昇し、その暖かさに誘われるように花の蕾もだんだん大きくなって参りました。間もなく長い冬を終え、待ち遠しかった春を迎えようとしております。春を迎える前に毎年通らなくてはならない記憶があります。3月11日、あの東日本大震災からもうすぐ8年を迎えようとしております。その後の復興は目覚ましく、恐ろしい震災の記憶も月日の流れとともに徐々に薄れつつあります。こうした中、震災遺構の保存をめぐっては各地で賛否様々な意見があるようです。皆様はどうお感じでしょうか?私は保存には賛成できません。特に大きな反対理由は無いのですが、それは第三者としての無責任な意見でもあり、地域やそれぞれがおかれた立場、環境によっても意見は様々でしょう。今や広島のシンボルとも言える原爆ドームも、当時は保存をめぐって賛成派と反対派で対立があったと聞いております。後世に悲惨さを伝える意味においては同じかもしれませんが、私は同じような目線で議論されるものではないと考える一人です。
間もなく平成の時代が幕を下ろそうとしております。豊かな時代を謳歌した後に辿った凋落。様々な技術革新や変化の流れにおいて30年という時代で一番印象的だった出来事を抽出するとしたならば、それは数々の自然災害の記憶ではないでしょうか。次の時代が平和で活力ある時代となることを願うばかりです。

 さて、話は変わりますが、今回は少しだけ本多静六氏の語録を抜粋したものをご紹介したいと思います。本多氏を語る上で欠かせないのが、造園家「公園の父」と形容される通り、日比谷公園をはじめ全国多くの公園設計に携わり東大農学部教授としての地位と名声の一方で、4分の1貯金を実践しその資金をもとに株式投資を行い巨万の富を築いた投資家としての二つの側面があります。以下は本多氏の著書から10年以上前に社員を叱咤激励しながら自らを鼓舞する為、社内の会議資料として引用したものです。これから新年度に向け環境が変わる方も多いと思いますので、何かの折にお役に立てれば幸いです。

 草木の芽が光明無限の大空を慕って伸びてゆく様子を見ても前途に輝く希望があってこそ、たとえ土地がやせていようが石ころが多かろうが、雨風に強く打たれようが、美しい花をつけ善い実をむすぶために毅然として立つのである。ここに生命の意義があり創造の価値がある。

 厄介で困難な仕事が来るほどありがたいと思い喜び勇んでそれを征服する。困難に直面するとすぐ易きに就こうと迷うものである。途中いかなる難所があろうと断乎邁進を続ける。天職と確信して迷わず疑わず専心努力する。

 ライオンは兎を打つにも全力を注ぐもの。
草履を懐に入れて温める。いかなる仕事にも最善を尽くし努力を惜しまない。全力を尽くして事にあたれば、その成果は決して疑いないものである。事未だ成らざるは、時節まだ来らざることを信じ更に一層の努力を続けその時節の到来を待つべきである。

 失敗の原因は自分にある。人生の失敗は敵の力に拠るものよりもむしろ自分の力に拠るものが多く、敵の力で倒れし者は再起の望みあるも、自らの力で倒れた者は永久の失敗に終わるものである。
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