2015年4月 vol.162
2015年04月10日
新年度をむかえました。街中で初々しい制服姿の新社会人を見かけるたびに清々しい気分になります。東北はこれからが春本番、まだまだ満開の桜を楽しむことができます。
賃貸シーズンも一段落ついたところで、私の目下の楽しみというと5月に行われるボクシング今世紀最大の決戦、世界ウェルター級王座統一戦マニー・パッキャオVSフロイド・メイウェザーの一戦です。お金と暇があればラスベガスで観戦したいものですが、さすがにそれは叶わないので、せめてその瞬間を生放送で体感したいと思うのです。ゴールデンウィークの家族サービスを優先するか、我を通して一生家族を敵に回すか私にとって究極の選択を迫られております。冗談はさておき、この一戦をめぐってはパッキャオの打ち合いを恐れないハートとパワーが優るのか、メイウェザーのスピードとテクニックが優るのか話題が尽きません。世間ではピークを過ぎた両雄の対決を疑問視する声もありますが、同世代のスーパースターが現役王者として君臨している今がラストチャンスなのです。私の勝手な予測ですが、序盤から攻めるパッキャオをロープ際に誘いながらスウェーでかわしジャブから試合を支配するメイウェザー。勝負は最終ラウンドまでもつれますが、終わってみれば3-0の判定でメイウェザーの勝利。すみません。興奮のあまり余談が過ぎました。ちゃんと仕事はしておりますのでご安心下さい。
さて、話は180度変わります。先頃来日し話題となったフランスの経済学者トマ・ピケティ氏の格差論について少しだけ触れておきます。さすがに何百ページにも及ぶ「21世紀の資本」を読破する気力はありませんが、解説書や経済誌によると結論は「r資本収益率>g経済成長率」という単純な不等式です。ようするに、株や不動産から生まれる収益が経済成長率を上回ることから、資本を多く持つ富裕層がさらに豊かになり、庶民との格差が益々広がるという理論であります。そこで彼が提案しているのがグローバルな累進資本課税と政府間の金融情報の共有化です。もちろん実現性は皆無と言ってよいでしょうが、世界の富の半分をたった1パーセントの富裕層が支配しているのは事実です。
最近、国内でも親世代の貧困が子供の学力にも影響を及ぼすとする、いわゆる貧困の連鎖についてしきりに議論されるようになりました。ひいては、少子化に加え子供の学力低下が将来日本の国力にも影響を及ぼすという結論が導き出されています。データ上ははっきりとしているようですが、そもそも高学歴の親が自身の経済力にモノを言わせ、子供の教育に投資するというのはちょっと穿った見方のような気もします。高収入を得ている親は教育にも熱心で教育環境が整っており、かつDNAというか先天的な部分が子供の学力に与える影響の方が大きいのではないでしょうか?
夢と希望を抱き新社会人となった若者に、いきなり格差の話などしてしまうとやる気も失せてしまうかもしれませんが、ピケティの主張は理路整然としておりうなずける部分も多々あります。不動産の世界で言えば、莫大な含み益を獲得した方々が日本国民の5%と言われる富裕層の中でも大多数を占めています。誤解を恐れずに言うと、戦後の経済成長の中で何処に土地を持っていたか、または取得したかで運命が左右されたと言っても過言ではありません。更に税制も拍車をかけます。比較の為、現行法で非常にシンプルに解説します。ここでは相続税や維持費等のコストも無視して考えます。相続した居住用財産の売却により3000万円の譲渡益が発生したと仮定します。住まなくなって3年以内であれば3000万円控除の対象となり非課税となります。居住用財産以外でも5年超の長期保有の不動産であれば同じ3000万円の譲渡益に対し20%の納税となります。ところが給与所得で3000万円を稼ぎ出した場合はどうでしょうか?単純に約40%の課税となり、労働所得と不労所得では税額が倍以上異なります。
所詮持っている人には敵わないと諦めるのも、人一倍頑張るのも自分次第。その現実を冷静に受け止めたうえで、格差など挽回するほど猛烈に働き、我が国復活の原動力となってくれる事を心より期待します!!