2016年6月 vol.176
2016年06月10日
京都では、初夏の新緑からちょうど今頃の時期のことを青もみじの季節と表現されるそうです。もみじというと秋の真っ赤な紅葉を連想される方も多いと思いますが、青々と風になびくもみじもまた風情があって心地の良いものです。
京都は日本を代表する観光地でありますが、とにかく外国人が多いのには驚かされます。毎日が祭りのような賑わいと言っても大げさではありません。最近では携帯電話の普及により、至る所で写真や動画撮影に興じる方の光景を見かけますが、我が街仙台ではこのような光景を見かけることはそう多くありません。それだけ観光地としては未成熟の部分が多いということなのでしょう。都市としての機能だけでは観光客に訴えるものは乏しいので、自然や食といった地域の特色を生かし、今春開業した北海道新幹線や民営化された仙台空港を活用することで近隣地域との連携を図り、北海道・東北地方全体が盛り上がれば理想的だと思います。
さて、先ごろ、G7サミットが日本で開催されましたが、総理の「世界経済は危機に直面している」との発言に違和感を覚えた方も少なくなかったのではないでしょうか。それからほどなくして、消費税増税を30ヶ月先送りするとの「新しい判断」が報じられました。一時2万1千円に迫った日経平均株価も、気が付けば1万6千円台。アベノミクスと銘打った経済成長シナリオの恩恵を受けたのは大企業や富裕層が中心で、中小零細や一般家庭に波及するには至らず、経済は正念場を迎えたと言ってもおかしくない状況です。それにしても、新しい判断という一見心地良さそうな言葉に翻弄され、大人も子供も約束を果たさなくなっては世の中の秩序も何もなくなってしまいますね。
個人的には、増税してもらった方が良いと考えておりました。かねてから増税回避への予兆があったとは言え、ちょっと拍子抜けした感じさえします。ここのところ若干停滞感のある住宅市場ででは、増税の再延期によって消費者心理がどう作用するか結果が出るまでもうしばらく時間を要しますが、短期的に見れば、駆け込み特需が期待外れに終わったことは否定できない事実であります。
停滞感と言えば、近年、貧富の格差が拡大したとされるアメリカでは、次期大統領候補の一人トランプ氏の勢いが止まりません。政治経験のない彼がこれほどまでに善戦してきたのは巧みなメディア戦力があるとされておりますが、純粋に「何か変えてくれるかもしれない」という国民の期待値の表れのように思えてなりません。自由奔放ともいえる発言の数々ではありますが、例え世間のバッシングがあってもめげないあたりのタフさは、日本のリーダーが最も見習うべき点ではないでしょうか。
その日本のリーダーですが、首都の知事も何だかパッとしませんね。最近はビッグニュースが少ないせいか、下流の芸能人の不倫や下らない話題ばかり。そこに降ってわいたかのように政治とカネの問題が発覚したものですから、関心がみんな彼に向けられた感もあります。それにしても、彼は政治家よりも中小企業向けの節税コンサルタントにでも転身した方が向いているのではないでしょうか?節税に関しての才能は超一流だと思います(笑)。知事を辞めても企業の顧問として食べて行けますね。彼に関心が向けられるもう一つの理由はこうだと思います。報じられる金額の一つ一つが、我々庶民にもわかり易い、いわば馴染みある単位だからです。これで桁が違っていたらどうでしょうか?実は、この報道の陰で同時期に発覚したパナマ文書問題がすっかり影を潜めてしまいました。ある意味、彼がやり玉に挙げられることでパナマ文書の話題は完全に終息してしまったようです。身から出たさびとは言え、タイミングも悪かったですね・・・。