2016年10月 vol.180

2016年10月10日

 季節は10月に入りましたが、先月からの度重なる台風上陸と接近で例年になく雨が多く、秋晴れと呼ぶには程遠い天候が続いております。農作物等への影響も心配されますが、皆様の地域は如何でしょうか。


 さて、最近はどのメディアでも小池都知事に触れない日はありません。今や日本一露出度の高い女性と言っても過言ではありません。それにしても世の中話題に飢えているせいか、東京五輪だの豊洲移転だのと声高に騒ぐものですから、その陰で話題をさらわれた人々も多いのではないでしょうか。
 

 本題に入ります。先ごろ、全国一斉に地価調査価格が発表されました。7月の路線価の発表から間もないこともあって、皆様の脳裏にも地価上昇あるいは下落率縮小とのイメージがインプットされたものと思います。平成28年地価調査の概要は次の通りです。全国平均の全用途(住宅地、宅地見込地、商業地、工業地)における平均値では、下落は続いているものの下落幅の縮小傾向が続いており、商業地においては横ばいに転じました。特に三大都市圏と地方4大都市の商業地は総じて上昇基調が強いことが報告されています。要因の一つとして、近年の外国人観光客の増加等を背景に、主要都市での商業施設やホテル開発が活発で、資金調達も良好なことが考えられます。住宅地では、ローン減税等の政策的下支えもあり住宅需要も旺盛で地価も底堅く推移しているとされております。また、三大都市圏を中心に物流施設の需要が旺盛で、工業地の需要回復が見られ、地価は総じて上昇基調にあるとされております。
 

 宮城県内はどうでしょうか?県内においては、全用途での平均変動率は1.4%となり、4年連続の上昇を示しました。実際に上昇を示したのは仙台市並びにその周辺の市町村で、その他の地域では2年連続の下落となりました。この結果からご想像頂けるように、仙台圏が県全体平均値を底上げした一方、震災特需に沸いた沿岸部等の地価上昇は終息したとみて間違いなさそうです。用途ごとに見ていくと、仙台市では住宅地が4.5%の上昇で、ほぼ全地点において上昇を示し5年連続での上昇となりました。商業地でも仙台市における平均変動率は7.6%で、4年連続の上昇となりました。
 

 もともと、地価調査は、春先の地価公示価格を補完するものと位置付けられており、価格時点は7月1日とされておりますが、それ以上のタイムラグが生じていることに留意が必要です。最近特に感じることですが、このような公的指標を大幅に上回る取引事例が市場をけん引するかのように、人気エリアや希少地などでは相場を逸脱したような値が付くことも珍しくありません。したがって、「この価格で誰が買うのか?」と疑問符を付けても、いつの間にか取引が成立しているものです。興味深いのは、リーマンショック前のプチバブルと比較しても、主役は中央の資金に限らないのも特徴だと思います。地方でも潤沢な資金を動かせるプレーヤーが増加しているのです。これは単に景気の山谷だけの話しではありません。例えば、震災特需により恩恵を受けた特定の業種、原発関連の補償金、又は相続対策による積極的買い増し、異次元の金融緩和によるカネ余り、様々な要素が地方でも高額な資金を動かせる環境を可能にしているのです。
 

 不動産取引において、売却時に発生する譲渡税は何方でも気になるところです。これまで、私どもが物件をお預かりする際、平成の時代に購入された物件で譲渡益が発生するケースはそう多くはありませんでした。それは、不動産価格が下落を続けてきたことを如実に物語っています。ところが、昨今の不動産取引においては、平成以降に取得した不動産でも譲渡益が発生するケースも珍しくありません。これは明らかに不動産の上昇を意味するものです。マネーゲームの果ての高騰が住宅取得者のマインドに悪影響を及ぼさないことを祈ります。