2019年8月 vol.213
2019年08月10日
長い梅雨も明け、いよいよ夏本番を迎えました。東北にも遅い夏が訪れ、お祭りシーズン真っただ中の仙台市内は七夕ムード一色となっております。連日、酷暑と称されるほどの暑い日が続いておりますので皆様体調管理には十分にご注意下さい。
さて、暑さと言えば、これから夏の高校野球甲子園大会が開幕します。最近では、過密なスケジュールの大会運営や選手の起用法など、選手の健康や将来を危惧する声も多く、様々な議論が繰り広げられております。つい先だってには、岩手県大会決勝戦での大船渡高校佐々木投手の起用をめぐり賛否様々な意見が巻き起こったばかりです。今やスポーツは努力と根性の時代ではなくなったようです。そんな酷暑の中、果たして来年の東京オリンピックを成功に導けるのでしょうか?観光立国を掲げる我が国にとって「おもてなし」で日本の魅力を世界に発信する絶好のチャンスであり、威信にかけて成功させなればなりません。そして、大会の成功同様に国民が最も関心と期待を寄せているのがメダルの数だと思います。大国ほどメダルの数が多いのは国力そのものとも言えますし、幼少期から英才教育を受けられる環境が整っているということは、経済力と豊かさの証と言い換えることができます。そういう点において、今後の中国は豊かさと人口の多さからも、世界のスポーツ界を席巻する存在になるのだと思います。我が国も負けてはいられません。
今回は少しだけ人口についてのお話をお届けしたいと思います。ここでは「ファクトフルネス」という本から興味深い内容を引用させて頂きました。世界の人口は今や76億人。このまま人口が青天井に増え続ければ、食糧難やエネルギーに環境問題など様々な事態が懸念されるのは当然のことです。ところが、国連が公にしているデータによれば世界の人口増加のスピードは既に緩やかになりつつあり、今後は100億人から120億人で安定するとされています(もっとも、この人々が我々と同水準の生活をしたとしたら大変なことですが)。本書では、声高に報道されるネガティブなニュースに気づき、日常にある思い込みを様々なデータを基に正しく見る習慣の必要性について説いています。世界はほとんどの分野において良くなっていることを知り、ストレスが減り気分が軽くなると。
それでは、なぜ世界の人口が増え、いずれ横ばいになることが分かるのでしょうか?国連の予測によると2100年には今より人口が40億人増えるとされていますが、その最も大きな理由は15歳から74歳までの大人の数が増えるからであり、既に子供の数は横ばいになっているというのです。人類は多くの進歩を遂げ、極度の貧困から抜け出しました(進歩のうち悪い事の減少例を抜粋してみました。乳幼児の死亡率、戦争や紛争の犠牲者、災害による死者、飛行機事故の死者、天然痘、飢餓、大気汚染等)。これらの進歩により、女性1人当たりの出生数も減りました。1800年までは女性1人に対し子どもの数は平均6人だったそうですが、そのうち大人になれるのは2人。今は事情が変わり病気で亡くなる子供が減り、多くの国では生まれてきた2人の子供が2人とも大人になることができます。その結果、子供を多く作らなくても良くなり、愛情とより良い教育環境を提供することもできるようになりました。1900年に15億人だった人口がこの間急激に増えたのは、平均6人の子供たちがかなりの確率で大人になることができる期間が続いたからだといいます。我が国はその縮図のようにも思えます。本書では、人口以外にも様々なデータを用いて日常における誤解を解説しています。これにより物事を見る角度が少しだけ変わるかもしれません。