2020年8月 vol.225

2020年08月10日

 各地で豪雨被害が報告され、お隣山形にも自然の猛威が襲いかかりました。被災地の皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに一日も早い復興をお祈り致します。

 

 さて、本来であれば今頃は仙台七夕で街中が大いに賑わっている頃なのですが、今年はコロナの影響で全国各地の多くのイベントやお祭りが中止を余儀なくされ少々寂しい夏となってしまいました。学校の夏休みも短縮され、東京発着を対象から除外した中、早くも迷走する国の奇策GoToトラベルキャンペーンにどれだけの意味があるのでしょうか?もちろん、経済を回すことは大変重要なことですし、特効薬が存在しない現状においてはこのウィルスと上手に付き合っていくしか選択肢はありません。しかし、感染者数の増加に危機感を示す自治体と、業界団体からの切実な要請を受けてのことか、意地を張るかのように危機的状況にないと押し通す政府の強硬姿勢との間には相当の温度差があるように思えます。そして、最近では専門家会議も当初の影響力を失い、政府の顔色をうかがうような発言も少なくなく、機能不全に陥っているように思えてなりません。国民は何を信用していいのかわからない状態にあると言えます。

 

 そんな第二波の襲来が懸念される中において、現状の経済は春先の緊急事態宣言下の最悪の状況からは脱したと考えられますが、中小事業者にとって日々一刻と変わる感染者数の報告には一喜一憂せざるを得ない状況です。持続化給付金はおおよそ行きわたったとみられますが、コロナ禍の影響で急激な売り上げ減少に見舞われた中小事業者にとって家賃などの固定費は大きな負担となっております。前回もお伝えした通り、国交省からは不動産業界団体に対しテナント事業者の家賃支払い猶予に応じるなどの柔軟な対応を要請する通達がありましたが、今回の家賃支援給付金はテナント事業者の家賃の負担を軽減し事業継続を下支えする制度です。対象となるのは、令和2年5月から12月における1ヶ月の売り上げが前年同月比で50パーセント減少、または連続する3ヶ月の売り上げが前年比で30%以上減少の場合です。詳細は省略しますが、法人の場合は6ヶ月で最大600万円、個人事業者の場合は最大300万円が支給されます。この制度では、不動産オーナーに対し既に家賃の減額や支払い猶予に応じてもらっている場合でも申請が可能です。当初の憶測では不動産オーナーを支援する制度として期待も高まっていましたが、ふたを開けてみれば程遠いものであり、少々肩透かしを食らったような感じを受けます。国が家賃減額要請に柔軟な対応を求めている割には少々不動産オーナーへの支援は物足りないように感じます。お金に色は付いていませんので、紛らわしい制度と評価せざるを得ません。いずれにせよ、家賃支援給付金制度によりテナントが当座の運転資金を確保し、オーナーとの良好な関係が継続されることを願いたいものです。

 

 一方、コロナの影響で家賃の遅延を受けたり、家賃の減額或いはテナントの撤退により家賃収入が減少してしまった不動産オーナーには次のような支援策が設けられました。不動産オーナーがテナントからの賃料減額に応じた場合は、その免除による損失の額を寄付金ではなく税務上の損金として計上できることが明確になりました。また、固定資産税・都市計画税について事業収入の減少幅に応じ全額免除または2分の1軽減(テナントの賃料支払いを減免した場合や、書面等により賃料支払いを猶予した場合も収入減少として扱われます)されます。

私は常々、物事を知っていても取り組まなければ知らないと同じことであると社員に申しております。このような制度や法律は万人の味方ではありません。いち早く情報を入手し活用できる者の味方なのです。知らなければ損ですが、知って活用しないのも同様に損を意味します。是非とも活用できる制度は大いに利用しましょう!!これは納税者である国民の権利でもあります。