2022年2月 vol.243
2022年02月10日
二十四節気は立春から始まります。暦の上では春ですが、実際には一年で最も寒い季節です。2月3日の節分は、その昔、季節の変わり目は邪気が入りやすいと考えられていた為、一年間の無病息災祈願の行事として行われるようになったことに由来するそうです。私も毎年恒例の節分祈祷会に参加して参りましたが、コロナ禍のせいもあり参加者は例年の3分の1ほどの印象を受けました。日本全国でオミクロン株による新型コロナの感染拡大が止まりませんが、歴史から見ても感染症は変異を重ね弱毒化することは明らかです。このまま収束を迎えることを祈るばかりです。
さて、1月に仙台市の昨年の人口動態が公表されました。これによると、増加数がマイナス567人となり初めて減少に転じたことが明らかになりました。出生数が死亡数を下回る自然減が拡大した一方で、転入数が転出数を上回る社会増が大幅に縮小し、結果として自然減をカバーするに至りませんでした。仙台市の人口が減少に転じたのは1989年の政令指定都市移行後初めてのことだそうです。仙台市の人口は1999年に100万人の大台を突破、その後の東日本大震災を経て、宮城県内はもとより東北各地からの転入が続き、今や109万6623人(2022年1月1日時点)を数えるまでに成長しました。仙台市は、昨年、将来人口の減少局面の予測を5年後倒ししたばかりでしたが、コロナの影響による人口予測が困難な為、2027年に人口のピークを迎えるとの推計にはコロナを加味していません。仙台市は、今回の人口動向にコロナの影響は一定程度あるとしながらも、現時点で人口減少局面に入ったとは捉えていないとの見解を示しています。
要因のひとつとして、コロナ禍による社会活動自粛の影響で企業や学生の転入が減少し、外国人の転入減などが顕著となったことが挙げられます。市内中心部のアーケードなど目抜き通りの空き店舗も目立ち始めました。ここ何年と空店舗を目にすることは少なかったのですが、今やリーマンショック時に匹敵するほどの空き店舗の数です。もちろん、コロナ禍が引き金になったことに異論を挟む余地はありませんが、人々の消費動向の変化も見逃せません。少々乱暴な表現かもしれませんが、少子高齢化にインターネットの普及、モノが溢れかえっている超成熟社会において、そう遠くない将来に何れ目の当たりにしたであろう街の光景をコロナが加速させたに過ぎないのです。
東京でも人口の減少が報告されました。都内の人口減少は1996年以来、26年ぶりのことだそうです。23区内では昨年から4万9891人減少し、市部は2089人増加しております。大方の見方では、新型コロナの影響で転出や外国人の帰国が相次いだ他、テレワークの普及で都内に住む必要がなくなったとの指摘があります。実際に首都圏の戸建て住宅の販売が好調との報道を耳目にしますが、コロナによる人々の環境や心境の変化が少なからず影響したものと考えて良いでしょう。また、郊外へのシフトは首都圏のマンション価格の高騰も影響しているものと考えられます。昨年の首都圏の新築マンションの平均価格は6260万円とバブル期を超えました。1億越えの高額物件もバブル期に迫る勢いです。更に2億以上のマンション購入者層の7割がキャッシュでの購入を検討しているというから驚きです。しかし、それは一部の富裕層の話。コロナ禍では居住スペースの広さを求める動きも多く、都市部の高騰に伴い郊外エリアがその受け皿になっているとも考えられ、新築中古を問わず相場を下支えしていると見られます。マンション各社は2、3年先までの仕入れを済ませているはずですので、近年の地価と建築費の高騰を背景に分譲価格は高止まりが続くものと予想されます。
その陰では、コロナ禍の影響で飲食店などのサービス業の縮小が続き、職を失った人々の都市部からの転出も目立ちます。アフターコロナの社会は地方再生の呼び水となるのでしょうか、又は社会活動の回復とともに都心回帰となるのでしょうか。興味深いところです。