2022年3月 vol.244
2022年03月10日
頬を撫でる風も少しずつ穏やかになり、確実に春の訪れを感じる今日この頃ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
さて、新型コロナウィルスによる感染高止まりが続いております。政府は18の都道府県に対し、まん延防止等重点措置の延長を決定しました。わが宮城県は対象地域でこそありませんが、感染が収まる気配がありません。そろそろ自粛頼みの政策からの転換が求められます。こうした中、東日本大震災から3月11日で11年をむかえます。当時小学1年で被災した次女はこの春大学に進学します。あらためて感慨に浸り月日の重みを感じております。
そして、遠くウクライナでは、ロシア軍侵攻による緊迫した状況が毎日伝えられています。湾岸戦争時にライブ映像を通じ、暗闇の中ミサイルの閃光が飛び交う光景に衝撃を覚えましたが、21世紀の近代においてこのような光景を再び目の当たりにするとは思ってもみませんでした。今回の侵攻に至るには、我々島国の人間には理解できないほどの根深い事情があるものと思いますが、ロシア人とウクライナ人は同じ東スラブ民族であり、武力による侵攻は許されるものではありません。事態の長期化は避けられないでしょうし、戦争を避けたいNATOやアメリカはウクライナへの支援やロシアへの経済制裁にとどまり慎重な立場を崩しません。この一触即発の状況は世界を巻き込んだ危機と言えます。とにかく一日も早い事態の解決を祈るばかりです。
先日、安倍元総理が核シェアリングについて持論を展開したところ、賛否様々な反響があったと聞いております。この議論が持ち出されるたびに暗闇に葬られてきた過去がありますが、この世界的武力の脅威に対し、平和や安全保障について活発な議論がなされるべき機会だと思います。
少しだけ、歴史のお話をしてみたいと思います。第一次世界大戦は、歴史上繰り返されてきたヨーロッパ諸国の対立の中、オーストリア皇太子夫妻が暗殺される悲劇、世に言うサラエボ事件がきっかけとされています。オーストリアと主導国ボスニアの争いが周辺諸国へ飛び火し世界規模の戦争へと発展したのです。ドイツの降伏により終結した第一次世界大戦から20年程で世界はまたもや戦争へと突進します。それが第二次世界大戦です。第一次世界大戦時に戦場にならなかったアメリカは空前の栄華を誇り、第一次世界大戦後のヨーロッパ復興はアメリカの資本によって支えられていたと言えます。ところが、1929年、ニューヨークで株価の大暴落が起きます。いわゆるブラックチューズデイです。アメリカの不況がヨーロッパに飛び火し、そして世界の経済をも巻き込んだ世界恐慌へと発展したのです。第一次世界大戦の敗戦国であったドイツは各国への多額の賠償金をアメリカの資本によって補っていた為、世界恐慌によるアメリカ資本の引き上げで最も影響を受けたのがドイツでした。失業者が急増し資本主義への不満の高まりの中、頭角を現した勢力がヒトラー率いるナチスです。1932年にヒトラーによる政権が誕生すると、一党独裁体制が確立されたドイツは国連を離脱後、軍事体制を再構築し他国へ侵攻します。同じころ、世界から孤立していた日本も国連を脱退、同様のドイツ、イタリアと手を結び枢軸国が形成されます。アメリカ、イギリス、フランス、ソ連の連合国との第二次世界大戦が勃発しました。
歴史を振り返り思うことは、戦争へ突き進む理由は身勝手な独裁政治による自己主張の正当化です。今も昔も何も変わっていませんね。第一次世界大戦後に国際連盟が設立され新しい世界秩序が作られましたが、結局のところ世界の平和と安定は長続きしませんでした。いつの時代も戦争は経済格差、主権争いと孤立、最後は条約違反による暴挙だと言えます。
第二次世界大戦時における犠牲者の数は5000万人とも言われています。そして、我が国は原爆投下によりポツダム宣言を受け入れ、実に60ヶ国をも巻き込んだ大戦は終戦を迎えたのです。中学のレベルの歴史観ですみません。それにしても、歴史は繰り返すと言われますが、コロナによる経済の疲弊もあります。世界が思わぬ方向に向かわぬことを祈ります。