2024年1月 vol.266
2024年01月10日
年頭に当たり、謹んでご挨拶申し上げます。まず始めに、新年の幕開けを襲った令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被害の全容把握ができない中、不安な日々をお過ごしのことと思いますが、報道を通し被災地の現状を知るにつれ被害の甚大さに言葉を失うばかりです。東日本大震災を思い返しますと、当時は春に向けて微かな希望を抱くことができましたが、北陸地方はこれからが冬本番、避難生活が相当な負担であると案じて止みません。一刻も早い安否不明者の救出と一日も早い復旧復興をお祈りすると同時に、日本が一つとなり経済を回し被災地を支援することが何より大切と考えております。
さて、本年は辰年であります。ご承知の通り、龍は十二支の中で唯一実在しない動物です。「兎跳ねる」の通り、昨年の日経平均株価は大きく上昇しバブル崩壊後最高値を付けました。バトンを継いだ辰年は「辰巳天井」の格言通り十二支の中で最も株価上昇率が高いとのデータがあります。本年は「兎」から「辰」でうだつ(・・・)が上がると語呂も良く、天高く登る龍の如く経済が上昇することを切に願います。
そして、当社にとって本年は創業50年の節目の年にあたります。ここでは、今年一年の市場の予測を交えながら当社の展望についてお話ししたいと思います。まず、昨年は新型コロナが5類に移行し経済活動や日常生活を取り戻した一年でありました。インバウンドを中心とした観光もV字回復を果たしましたが、その一方で各業界の人手不足も深刻化しております。また、国際情勢不安に端を発した資源物価高や日米の金利差が招いた円安により、我々の生活も急激な変化に翻弄されております。デフレ脱却への正念場に、国のかじ取りを担っている政府与党内からはパーティー券問題が発覚、昨年末から政局は混沌として参りました。
不動産市況は、地価の高止まりと建築費高騰により、住宅市場を中心に昨春頃から急速にブレーキがかかった印象を受けます。所得と市場価格の乖離による影響が大きく、当然のことながら急激なインフレが家計を直撃した結果、消費マインドの停滞が買い控えをもたらしたと考えられます。こうした状況をしり目に、事業用不動産は高騰を続けてきました。それゆえに、不動産業界は取り扱うジャンルにより明暗を分けたと言えます。当社では幅広い商品構成により、売り上げこそ減少に転じたものの相応の利益を確保することができました。
本年、日銀が利上げのタイミングを逸してしまうようであれば、円安・物価高の流れは不可避となり、賃上げも風前の灯と化し消費に悪影響を及ぼす公算が強くなるでしょう。特に金額の大きい住宅用不動産においては、買い控えの流れが続くことが予想されます。もう一つのシナリオとして、利上げが実現した場合でも不動産業界にとってはマイナス面が多く、どの道を辿っても変化の年となりそうです。これまで、積極的仕入れが続いた住宅各社にも慎重な動きが浸透し、在庫数が増え始め建築費高騰により土地の成約件数は鈍化、地価は調整局面に突入する可能性さえあります。一方で、マンション用地などの事業用地の需要はまだまだ旺盛であり、局地的に地価を押し上げそうです。また、競合を避け、郊外へ展開するデベロッパーの動きも見られ、今後の需給の推移が注目されます。何れの場合も、今春の地価公示価格は多くの地点でプラスとなることが予想されますので、流通価格との乖離に翻弄される一年になりそうです。付け加えると、今後、仙台市内では都市再生特措法の適用を受けたビルラッシュが続きます。建て替え絡みの移転や現場事務所の特需により、一旦は既存ビルの空室率が改善されるかもしれませんが、その後のビル需要は新旧ともに不透明のままと言えます。
こうした状況下ではありますが、本年は当社の長い歴史に裏打ちされたノウハウを投入し、本格的な街づくりに参入する機会を授かり、新たな事業の枠組みを構築する年と位置付けております。また、商品構成を微調整しながら、効率的かつ質の高い業務を目指して参ります。
本年は、Mission2024を軸に社員一丸となって皆様の資産活用のお手伝いをさせて頂く所存であります。結びに令和6年が皆様にとりまして最良の年となりますことを祈念致しまして挨拶と致します。
Mission2024
集中と選択の局面を見極め合理性を追求し、真剣徹底の精神を磨き、大義と責任をもって計画的行動に基づき、質の高い業務を遂行すること。