2024年8月 vol.273
2024年08月09日
東北の夏祭りのフィナーレを飾る仙台七夕は大勢の人出で賑わいましたが、織姫様と彦星様のいたずらか、今年も途中雨に見舞われてしまいました。ちなみに、七夕期間中の雨は9年連続だそうです。
さて、先ごろ歴史的な円安を背景に日経平均株価は史上最高値を更新しました。その矢先のこと、日銀の利上げや米国の経済指標悪化などを受けてか、市場は予想以上に敏感に反応し、一夜にして円高・株安へと暗転しました。専門家の間でも、いずれ買戻しの動きがあるとの楽観的観測がある一方、既に調整局面に入ったとの見方もあり、意見が分かれています。「山高ければ谷深し」の格言通り、高騰のあとの暴落とも言えますが、個人的には、この先まだまだ乱高下を繰り返しながらも相場はいずれ持ち直すものと考えています。少なくとも円高(というよりまだまだ円安です)の進行により、すぐに物価安定に振れるとも考えがたく、むしろ株安は大企業や富裕層の投資や消費マインドの減退を誘引し、足元の経済に限って言えば負の側面の方が大きいような気がします。
話題は変わりますが、夏季オリンピックパリ大会が現地時間の7月26日に開幕しました。前回の東京大会は無観客での開催だっただけに、現地の盛り上がりや選手の意気込みもひとしおだと思います。そして、現地からは日本勢の活躍が続々と報告されています。一方、開会式の演出の是非に始まり、誤審や選手の立ち居振る舞いに運不運など、競技以外の話題も事欠きません。ネット社会を象徴するかのように、大半を応援や感動のメッセージが占める中、残念ながら誹謗中傷など辛辣なコメントも寄せられているようです。勝負の世界ですから結果が求められるのは当然のことですが、この大舞台に至るまでには選手一人一人にそれぞれのドラマがあり、その関係者にもいろいろな想いがあるわけで、軽々にギャラリーが敬意を欠いた批判のみを展開すべきではないと思うのですが・・・。
それでは、ここまでの大会を少し振り返ってみることにします。スケボー女子ストリートでは日本勢が金銀の表彰台を独占、14歳と15歳の女王が誕生しました。同じく男子堀米雄斗選手の逆転による二連覇は果敢に大技にチャレンジした結果と言えるでしょう。日本のお家芸である柔道では、阿部詩選手のまさかの敗退が印象的でしたが、兄一二三選手が連覇を達成し妹の雪辱を果たしてくれました。柔道女子48キロ級で初出場の角田夏実選手は日本に最初の金メダルをもたらしました。団体混合では、東京大会に続く悔しい銀メダルとなりましたが、連敗で涙を飲んだ斉藤立選手の今後の成長が楽しみです。バドミントン混合ダブルスワタガシペアは東京に続く銅メダルを獲得。8強入りを目指したバスケット男子は3連敗で残念ながら世界の壁を超えることはできませんでした。体操男子団体は大逆転での軌跡を起こしました。立役者となった若干20歳の岡慎之助選手は3冠を達成、若きニューヒーローとして輝きを放ちました。我らが仙台出身、卓球男子の張本智和選手は、惜しくも4強入りを逃しメダル獲得にはあと一歩届きませんでしたが、全力を出し切ったうえでの敗戦に悔しさを滲ませながらも、4年後に向け力強いコメントを残しました。卓球女子の早田ひな選手は利き腕を負傷し満身創痍で臨んだ3位決定戦で接戦を制し見事銅メダルに輝きました。フェンシングの大躍進は男女とも目を見張るものがありました。そして、男子ゴルフ松山英樹選手は銅メダルを獲得し、東京大会3位決定戦敗退の雪辱を果たし、男子ゴルフ界に初のメダルをもたらしました。陸上サニブラウン選手は、世界の背中にあと一歩まで迫りました。日本史上最強の呼び声が高かったバレーボール男子はイタリアとフルセットの激闘の末敗れ4強入りを逃しましたが、世界の頂に確実に近づきました。レスリング男子グレコ文田健一郎選手は日本に40年ぶりの金メダルをもたらし、見事東京大会のリベンジを遂げました。スケボー女子パークでも15歳の開心那選手が2大会連続の銀メダルを獲得。記憶の限りを綴ってみましたが、我らが日本選手団は結果に関係なく多くの感動を届けてくれました。パリでは連日熱戦が繰り広げられていますが、大会もいよいよ後半戦に突入、本号が出る頃にはもっともっと感動のドラマが生まれていることでしょう。皆様くれぐれも寝不足と熱中症にはご用心下さい。